大判例

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最高裁判所第一小法廷 昭和38(あ)803 決定

主 文

本件上告を棄却する。

理 由

被告人Aの弁護人松岡一章の上告趣意一について。

所論は憲法三一条違反をいうが、関税法一一二条一項に規定する同法一一〇条一

項の犯罪にかかる貨物について、これを情を知つて有償で取得する等の罪は、その

故買者においてその物が同条項の罪に係る貨物であることの認識があれば足り、同

条項一号と二号のいずれに該当する行為に係る貨物であるかの事実までも知る必要

はない。(昭和二八年(あ)第三五七一号、同三〇年九月一六日最高裁判所第二小

法廷判決参照)されば、第一審判決の事実摘示には所論のように明示を欠く点はな

いものというべきであつて、これと同趣旨の原審の判断は正当であり、所論違憲の

主張は前提を欠き、刑訴四〇五条の上告理由に当らない。

同二について。

所論は憲法二九条違反をいうが、被告人から密輸時計を買受けた者が税関長の通

告処分に対する履行として税関に納付した貨物が所論第一審判決別表記載の本件時

計と同一品であるとは確認し難いとした原審の判断は、挙示の証拠関係に照らし是

認し得るところであるから、違憲の主張は前提を欠き、刑訴四〇五条の上告理由に

当らない。

被告人Bの弁護人松岡一章の上告趣意について。

所論の理由のないことは、前記被告人Aの弁護人松岡一章の上告趣意に対して説

示したところと同様である。

被告人Cの弁護人朝尾皆之助の上告趣意第一点について。

所論は憲法三八条三項違反をいうが、原判決の是認する第一審判決が所論自白調

書を唯一の証拠としたものでないことは同判文の示すとおりであるから、違憲の主

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張は前提を欠き、刑訴四〇五条の上告理由に当らない。

同第二点について。

所論は憲法三八条二項違反をいうが、所論供述調書が任意性を欠くものと認めら

れないとした原判決の判断は正当であるから、違憲の主張は前提を欠き、刑訴四〇

五条の上告理由に当らない。

同第三点について。

所論は単なる訴訟法違反の主張であつて、刑訴四〇五条の上告理由に当らない。

被告人D、同Eの弁護人佐佐木祿郎の上告趣意は、事実誤認、量刑不当の主張で

あつて、刑訴四〇五条の上告理由に当らない。

よつて同四一四条、三八六条一項三号により裁判官全員一致の意見で主文のとお

り決定する。

昭和三九年二月二七日

最高裁判所第一小法廷

裁判長裁判官 入 江 俊 郎

裁判官 斎 藤 朔 郎

裁判官 長 部 謹 吾

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